私の住む兵庫県には「トライやる・ウイーク」という制度(行事?)があります.
中学生が班に分かれて、一週間、地元の企業で働くのです.
私は会社に入ってから兵庫県に来ましたので、この制度が昔からあるのか、最近出来たのかも知りませんでした.
今年の「トライやる・ウイーク」が、今日から始まりました.
私の娘の保育園にも「トライやる・ウイーク」の中学生が何人か来たようで、娘が「今日はお兄ちゃんに遊んでもらった」と喜んでいました.
その「トライやる・ウイーク」ですが、今朝(といっても10時ころですが)出勤時に、ちょっと「?」と思う光景に出くわしたのです.
私がいつもの道を歩いていくと、大きな飲食店前の駐車場で、ゴソゴソ動く人影が3人.いつもは人がいるような場所ではないので不審に思って見ていると、どうも中学生らしい.体操服を着ている.そして手にはスコップ.穴でも掘っているのかと思いさらに歩いていくと、ミゾ掘りをしている.半分以上土砂に埋まって雑草がびっしり生えたミゾを一生懸命に掘っているのです.ミゾ掃除ではなくて、ミゾ掘りです.炎天下に帽子もかぶらずに.
どうも、「トライやる・ウイーク」でその店に来て、命じられた仕事が「ミゾ掘り」だったようです.確かに、その店の駐車場のミゾですから、その店の誰かがミゾ堀りをしなければならないのですが、なにも来たばかりの中学生にやらせることもなかろう、と思います.せっかく飲食店にきたのですから、同じ掃除をさせるにしても、厨房の掃除とか、フロアの掃除とか、ありがちですがトイレ掃除とか.何ヶ月も(ひょっとしたら何年も)ほったらかしになっていたミゾなんぞを掘らせるのはどうなんだろうか、思います.
そこで、このたび「トライやる・ウイーク」についてちょっと調べてみたのですが、意外なことがわかりました.
私は、単なる就職体験的なものだと思っていたのですが、意外に奥が深いといいますか、深い深い考えがあってのことだったのです.
その起源は「阪神・淡路大震災」までさかのぼります.この地震で、兵庫県は甚大な被害を受ける一方(私も室内がめちゃくちゃになりました)、生命や人権を尊重する心や、ボランティア精神など、多くの貴重な教訓を得た、ということです.この教訓を生かすため、「生きる力を育む教育」の充実を進めてきた矢先に、今度は神戸市須磨区での児童殺害事件が起こり、「心の教育」の充実を図ることの大切さを再認識させられたのだそうです.そこで、この「心の教育の在り方」という課題について検討した結果、考え出された一つの教育方法が「トライやる・ウイーク」なんだそうです.単なる就職体験ではなかったんですね.
公開されている、実施要領の「実施の趣旨」などを読みますと、本当によく考えられた上での制度だということがわかります.
しかし、今朝の「ミゾ掘り」なんかを見ていると、兵庫県が掲げる高い理想は、末端の受け入れ先企業までは浸透していないのかなぁ...と思いました.
帰りに見てみると、ミゾはきれいになっていました.
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