誰でも知っているこの話ですが、嫁さんが子供に読み聞かせているのを聞いていて、「お前ちょっと待てよ」ということに気が付きました.
話の筋はみなさんご存じの通りですが、最後の場面、寝ているオオカミのお腹から子ヤギを救い出したお母さんヤギは、オオカミのお腹の中に石を詰め込みます.目が覚めたオオカミはのどが渇いて、池(または川または井戸)の水を飲もうとして、お腹の石の重みで水に落ちて死んでしまいます.めでたしめでたし、って、どこがめでたいんじゃ〜!
私の子供のころは、「生態系」という言葉も一般的ではなく、肉食動物=どう猛な捕食者=悪い動物、草食動物=食われる身=可哀想な動物、という図式が成り立っていました.しかし現在では、肉食動物が悪い動物であるという認識はほとんどないと思います.ライオンだって象やキリンには道をあけるそうですし、体力が落ちれば、他の肉食動物に食われてしまうんですから.
「3匹の子豚」だってそうですよね.悪いオオカミが3匹の子豚を食べに来る.でも私たち人間だって、ほぼ毎日、豚の肉を食っているんです.
正直爺さんがいい思いをして、意地悪爺さんがしっぺ返しを食らうとか、桃太郎が鬼退治をするとか、そういうのはいいと思うのですが、オオカミやキツネ=悪者というお話しは、ちょっとどうかなと思います.
「オオカミって悪い動物なの?」と子供に聞かれて、返事に困りました.生態系の話なんかしてもわかるわけもなく、かといって「そうだよ、オオカミは悪〜い動物なんだよ」というわけにもいかず….
私の考えすぎでしょうか.
飛狼
大陸では狼を自らの財産である家畜を害する敵と見なしていますから、童話にもそれが反映されるのでしょう。
面白いことに、日本では古来狼に悪い印象を持っていなかったようで、「オオカミ」という日本語の語源自体、「大口の真神(おおくちのまがみ)」という大変ありがたい言葉のなまったものといわれているのですがね。
korukoru2
おぉ、やっぱりオオカミは必ずしも間抜けな愚者ではなかったんですね.オオカミの立場がちょっと可哀想と思っていた私にとっては、とても貴重な情報です.
「大口の真神」で検索してみましたが、私が最も苦手とする、日本史のしかも飛鳥時代の歌に出てくるようですね.
「大口の真神」ということは、神様の一種として認識されていたのでしょうか.
なんだか「3匹の子豚」のオオカミとは、まったく違ったイメージで、とても新鮮です.
ありがとうございました.
いや〜、blogって、いろんなことが勉強できて本当に良いですね.