私は播州地域に住み、ときには播州弁もしゃべりますが、生粋の播州人ではありません.ですから、姫路の人の「祭り」にかける思いは全然理解できません(「お祭り」じゃなくて「祭り」なんです).
これは、文化の違いですから、播州地域の人の心意気についてどうのこうの言うつもりもありませんし、私の方が優れているとか劣っているとか、そういう比較をするつもりもありません.しかし、姫路の人の祭り好きは、ちょっと理解できません.本当に「異文化」という感じです.
うちのマンションの前にも、「祭り」を示す「のぼり」があげられていました.あれを見ると、「ああもうすぐ祭りなのか」ということに気が付きます.「祭り」に全く興味がない私は、どうしても「あののぼり1つにしても自治会費から支出されているんだよなぁ」という方に考えが行ってしまいます.
私の会社は製造業ですので、製造現場で働いている方はなかなか休みが取りにくいのです.一人が休むとその穴を誰かが埋めなければならないため、誰かが休むと誰かに負担をかける.だから休みにくい.でも「祭り」のときには違います.
「こんど祭りがあるんですけど」というと「おぅ!頑張って担いでこい」という具合だそうです.ちなみに「祭り」に行って遊ぶのではなく、「祭り」には「屋台(おみこしです)」を担ぎに行くのです.
「祭り」の日には学校が休みになります.床屋さんやお菓子屋さんなどの個人商店や、会社まで休みになるところもあります.
「祭り」になると、締め込み(ふんどしです)姿にジャンパーを着たような男衆が道にあふれますので、車が渋滞します.神社の近くは交通規制がかかります.その地区の「祭り」の予定を知らずに間違って神社の近くに迷い込んだりしたら、大変なことになります.
「祭り」が終わると、幼稚園で「お祭りごっこ」という行事があります.お祭りで使う様々なグッズ(ハッピとかはちまきとか、細々したものがたくさんあります)を持ち寄って、みんなでおみこしを担ぐまねごとをするのです.しかし、「祭り」に参加しないうちのような家庭にはお祭りグッズがありません.そういう子は、お祭りグッズをたくさん持っている地元の子に借りるのだそうです.そして、「よーいやさー」とかけ声をかけながら、段ボールで出来たおみこしを担いで、幼稚園の周りを一周してくるのだそうです.
こうやって、幼い頃から「お祭りは楽しいよ」という想いが入力されます.子供会や青年団、消防団や婦人会、そして自治会.全ての自治組織が「祭り」に向けてベクトルを合わせています.ですから、それらの組織に所属しながら育つ地元の子たちは、大人になったころには「よっしゃ〜、ワイもいっちょう担いだるでぇ!」という、威勢のいい担ぎ手に育つのだと思います.
「灘のけんか祭り」はNHKの全国ニュースで放送されるくらい有名な「祭り」です.まさに伝承文化ですよね.せっかく姫路に住んでいるんですから、一度くらいは見てみたいような気もしますが、どうすれば生で見れるのかもわかりません.ましてや、あんなに重たいもの担ぎたいなんて全く思いません.やはり私にとっては「異文化」です.
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