知ってましたか?.映画「アタゴオルは猫の森」が、今日で最終日でした.たしか10月14日から封切りだったはずなので、1ヶ月やってないんです.短いですねぇ.
今日の昼休みに、公式ホームページを見ていたら、「最終日11月2日」とあって、「もうすぐ終わりなんだ.そろそろ見に行かなきゃ.って、今日じゃん!」ということで、仕事を1時間早く終えて、車で神戸まで見に行ってきましたよ(最終日の最終上映なのに、観客が5人て、そりゃ上映期間も短くなるわなぁ).
で、映画の出来ですが、石井竜也さんの音楽がかなりノリノリであること、また、フル3DCGであったりするので、かなり濃いいアタゴオルを想像しておったのですが、見事に外れました.薄すぎます.まるで原作「ギルドマ」のダイジェスト版を見ているかと思うくらい薄いです.それでもたっぷり1時間20分もあるんですけどねぇ.まあ言えば、あっという間に終わったという感じで、どこで盛り上がりを感じればいいのかタイミングを逃しそうになります.
ヒデヨシが魚屋を襲ったり、ウドンの食い逃げをしたり、そういうシーンが一切ありません.輝彦宮が出てくるのが早すぎて何だか唐突です.原作では「チョッケツ〜!」をして、ドカンドカンと爆発をくり返しながら魚屋やウドン屋を襲っているヒデヨシを見て、輝彦宮がヒデヨシを「父上」に任命するはずなのですが、映画では植物女王ピレアが出てきたらすぐに輝彦宮が出てきてしまって、何だかあっけなさ過ぎます(原作では輝彦宮が登場するのは、ストーリーのちょうど中間くらいのところです).
原作では、花になった猫や人間は、ギルバルスの活躍で、一度は元の姿に戻ります.でも、自ら望んでもとの花人間、花猫に戻るのです.その理由は「規律の外に出るのは怖い、規律の中にいれば「自分」など無くてもいいのだから」.そういうポイントが描かれていないのです.
後半に「ニュルニュルのクネクネ〜」があるのですが、これも「ニュルニュルのクネクネ〜」と言っているだけで、何のことか説明が全然無い.タコやイカの躍り食いの幻影に惑わされそうになるヒデヨシが、「オレがタコや生イカを置き去りにするなんて、あってはならぬことなのよォ〜」と言って、よだれと涙を垂らしながらも走り続けるという大事な場面もありません.
サウンドトラックCDで石井竜也さんが「こんなに音楽と映像のリズムがマッチしている映画は今までないんじゃないか」とコメントをしていたのですが、確かに音楽と踊りはモーションキャプチャーでピッタリ一致しています.でも細かいところを見るとアラが目立ちます.製作したスタジオは「日本のPixar」と呼ばれているらしいのですが、Pixarではこんなにアラが目立つようなことはしないでしょう.
まず、オープニングで、ラッパを「ぱらっぱっぱっぱっぱららー」と吹く猫がいるのですが、ラッパを口から離しても、まだラッパの音が出ている.ハーモニカの鳴るのシーンではテンプラがハーモニカを吹いているのですが、2回目のハーモニカのシーンでは、テンプラはただバックで踊っているだけ.バイオリンのシーンでは、唐あげ丸さんがバイオリンを弾くのですが、1本の弦(一番高音側)にしか弓が当たっていないし、左手はバイオリンを持っているだけで、弦を押さえてもいない.何か詰めが甘いんですよね.
まあ、私としましては、こんなに思い入れの強い作品が映画化されてそれを見に行ったのは初めてのことなので、思い入れが強い分、期待はずれの時の落胆は大きいということなのかなぁ、と思いますが、しかしなぁ.一人のアタゴオルファンとしては、もうちっと何とかならんかったんかい、といいたいです.それだけ原作のますむらひろしさんの作品の中身が濃いいということでしょう.
映画だけ見て、まだ原作を読んでない方、ぜひ原作を読むことをオススメしますよ.「アタゴオル外伝・ギルドマ」です.普通の本屋さんには多分売っていませんが、アマゾンで買えますので.
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