ビンテージコンピュータさんで売っているタイムドメインスピーカが気になっていました.
MidiLand MLi-130TD スピーカー/TimeDomain Technology
これは、どう見ても、日本のTIMEDOMAIN社の「TIMEDOMAIN mini」にそっくりです.
しかし、アメリカのは¥3,980なのに対して、日本のは¥18,900です.二つの製品を同じ物と考えるには、ちと値段が違いすぎます.アメリカのは日本製品のコピー商品なんでしょうか.でも、そんなあからさまなコピー商品を堂々と売ることは出来ないはずだし、この二つの商品の関係はどーなってるんだろうかと、ずーっと気になっていました.結局、どっちか買ってまえ、ということで、安い方のアメリカのスピーカを買ってみました.
いつものように、ビンテージさんに注文をしてから4〜5日で商品は届きました.箱を開けてみてちょっとビックリしたんですが、モノがけっこうでかいです.もっとジェット機のエンジンのようにシュッとしているかと思っていたのですが、実際はどちらかというと、ふくらんだ風船のような感じです.高さも結構ありますので、ディスプレイの前に配置すると、画面にかぶります.こんなことは買う前にチェックしておくべきなんですが、そういうことをせずにいきなり行動に出るのが私のいつものパターンです.
音を出してみる前に、スピーカのコーンをツメでコツコツとたたいてみます.本当はこんなことしてはいけないんだと思うのですが、これも私のいつものクセです.ちっこいスピーカのわりに、けっこう「ボツボツ」という湿った低めの音がします.この音が、このスピーカの低域の共振音です.コーンはサイズのわりに厚めで柔らかく、重たい感じです.直径が5cmですので、出来るだけ低域をのばそうとしているんだと思います.
さて、私がいつも聞いている曲で音出しをしてみました.私がいつも聞いているのはiPodですので、ヘッドホン(SHUREのE4C)との比較になります.音が出たとたん、まず、高音が出ていません.しばらく聞いてみて、低音も出ていません.ボーカルなどの定位はしっかりしています.特定の楽器の音が非常にリアルに聞こえます.アコースティックギターの弦をはじく音、カスタネットやトライアングルの音、スネアをブラシでこする音、など.ジャズギターのソロなんかは、ものすごく生々しく聞こえてきます.今までは大きな音の後ろで隠れて聞き取れなかった小さな音が、はっきりと聞こえるときがあります.こんなとこでこんな楽器が鳴ってたんや、っていう感じ.ボーカルの「サ行」のアタックが強いです.ちょっといろいろ聞いた中で一番印象が良かったのは、YMOのテクノでした.
このサイズのスピーカですから、当然低音は出ません.試しに、ウッドベースだけで演奏した「G線上のアリア」をかけてみましたが、音がとても小さいです.コーンもほとんど動いていません.音が出ていないというよりは、電気的にフィルタをかけて低い周波数の音をカットしているようです.高音はどうなんでしょうか、フィルタがかかっているのか、振動系の物理特性で音が出ないのか、ちょっとわかりません.特定の曲、特定の楽器に対しては、ときにすばらしい音が出ることもあります.これがタイムドメインの特徴なんだと思います.まあ全体として、口径が5cmであることを考えれば、非常によくできています.「Apple Pro Speaker」などとくらべると、こちらの音のほうが私は好きです.
ところで日本のTIMEDOMAIN社との関係はどうなっているんだろうかと思って、マニュアルを探したんですが、マニュアルがない.箱の表に書いてある説明をよくよく読んだんですが、そのことについての記述はない.箱の底に、designed in US,made in china.と書かれていました.やっぱりアメリカの会社の独自デザインなんだろうかと思っていたのですが、最後にやっと見つけました.箱の側面下の方に2mmくらいのちっこい文字で3行ほど注意書きがあったのですが、その中に「TIMEDOMAIN in Japan」の表記がありました.やはり、日本のTIMEDOMAIN社のライセンスを正式に使っているようです.でも、この価格差はなんなんでしょうね.ひょっとしたら、デザインは同じだけれど、日本のTIMEDOMAIN miniは中国製ではなく日本製で、もっといいスピーカユニットを使っているのかもしれません.
さて、このスピーカ、実際の音を聞いてみて、私だったら¥3,980なら十分OKです.もし日本のTIMEDOMAIN miniが、これと同じ商品で¥18,900なら、ちょっとどうかなぁ.う〜ん.オーディオは趣味の問題ですからねぇ.もし、このスピーカとTIMEDOMAIN miniが同じであるのなら、¥18,900を出して購入を検討している方には、ぜひ、現物で試聴することをオススメします.一つの新しい理論のスピーカとして自分が納得できれば、決して高い買い物ではないと思います.
カンパネラ
以前不実のFMV DP-C等一部に付属していたものと同じ廉価版だと思います。
ボディの金型だけが一緒で、中身はホンモノとは随分違うという噂もチラホラ。
FMV+タイムドメインでググると色々出てくると思います。
korukoru2
そうですよね、やっぱり.
¥3980と¥18900が同じモノって言うのは、ちょっとひどすぎますから.
ホンマモンのほうは、うちの近所では、神戸の東急ハンズで試聴できるようなので、時間があったら行ってみたいと思います.
滋賀のふじむら
いつも,楽しく読ませて頂いております。
もうご存じかもしれませんが,富士通製の同等スピーカーと,本家の周波数特性を比較されていますが,私には違いがよくわかりません。Vintageで購入するかどうか,まだ迷っています。まぁ,お値段の割にはいい音のような気がしますが・・・。
http://blogs.yahoo.co.jp/sound_solitaire_mk2/7858341.html
Hiro
TimeDomain、気になっていたので耳よりな情報をありがとうございます。
こっちに該当製品の特性を測定した結果がありました。
http://blogs.yahoo.co.jp/sound_solitaire_mk2/archive/2007/07/15
korukoru2
滋賀のふじむらさま、Hiroさま、情報ありがとうございます.
すでに試している方がいらっしゃったんですね.
でも、せっかくタイムドメインといっているのに周波数領域で比較するのはどうかとも思います.
お二人に教えていただいた特性のグラフを比較してみますと、MLi-130TDだけ、特性が違っている点があります.
MLi-130TDでは、200Hzあたりからグラフが低下して、80Hzあたりに深いディップがあります.
また、10KHz付近で本家は特性が盛り上がっているのに対して、MLi-130TDではディップが発生しています.
MLi-130TDは、かたちは本家と同じですが、別物のスピーカということになりそうです.
korukoru2
ForestCelloさま、もうMLi-130TDを購入されたのですね.通販では試聴が出来ないのが難点ですね.
とはいえ、¥4000そこそこのスピーカとしては、それなりの音だと思います.本家のTIMEDOMAINminiと比較するのが無茶なのかもしれません.
しかし、タイムドメインのホームページに、ライセンス製品のリストがあるのですが、そこにMLi-130TDが出ていないこと、また、MLi-130TDにはタイムドメインのライセンス品であるということが、探さないとわからないほど小さくしか表記されていないことなど、いまいちすっきりしない点があるのも事実です.
まあ、オーディオ製品ですので、最終的には本人が聴いてみて値段と相談して納得できるかどうか、という点が一番大事なのかなと思います.