10月19日に「タイムドメインを試してみました」ということを書き、11月2日に東急ハンズで初めて聴いたタイムドメインスピーカの音に「何じゃ、こりゃ〜!」と驚いたわけですが、いったいこのスピーカはどうなっているのか、ということで、いつものように早速オークションで中古品を入手しました.とはいうものの、ここら辺で妙に貧乏性な行動に出る私なのですが、本家本元のTIMEDOMAINではなく、富士通のライセンス品の、しかも内蔵アンプのボリュームが接触不良を起こしてガリガリいっているジャンク品を安く買いました.
さて、スピーカが届いてまずやるのは、やっちゃいけないんですけど、コーン紙をツメで突っついてみる.以前入手した「MidiLand MLi-130TD」というやつは、ツメで突っつくと「ボツボツ」という湿った低めの音がしていましたが、富士通のタイムドメインスピーカでは、「コツコツ」という、けっこう乾いた軽い音がしました.ということは、「MLi-130TD」よりは高音が出るんだろうな、という予想が出来ます.
で、壊れているとは聞いていますが、いちおう普通の接続をしてみると、おっしゃるとおり、右のスピーカからは音が出ず、左のスピーカからは音が出るモノの、「ガリガリ」ノイズがのっています.そこで、スピーカを分解して、配線をちょん切って、スピーカケーブルを半田付けして、アンプをバイパスした、タダのスピーカにしてしまいます.それを手近なアンプにつないで、やっと音が出せるようになります.
最初に聞いたのは、東急ハンズで試聴させてもらったのと同じギターとバイオリンの曲.聴き始めてすぐに、「そうそう、こんな音だった」と思いました.明らかに「MLi-130TD」とは違う音がします.そのうち曲が進んでウッドベースの音が入ってくると、こんなサイズとは信じられないくらい「ボンッボンッ」と低音が響きます.なんといっても、音楽の臨場感がとてもよく伝わってきます.小編成のライブ録音なんかがぴったりだと思います.そして、音がとてもきれいで心地いいです.ボリュームを最大にしても全然うるさいとは感じません.コーン紙は目に見えてものすごい振幅で振れているのですが、音が割れたりすることはありません.
これもやっちゃいけないんですが、曲を再生中に、コーン紙を指のハラで押さえてみました.こうすると、普通のフルレンジなんかでは高音が押さえられて、こもったような音になるのですが、TIMEDOMAINっておもしろいですね、音が割れるんです.「ガリガリガリッ」っていうような、波形が破壊されたような音がします.どういう理屈なんでしょうかね.
いろんな曲をどんどんかけてみて気がついたのですが、小口径のわりに意外と高音が出ていないです.弦をはじくような音は非常にリアルなんですが、高音の伸びが今ひとつのような気がします.それから、低音は出ているのですが、どうもどこかの周波数でかなり強い共振を起こしているような、けっこうこもった低音です.ですが、ウッドベースだけで演奏した「G線上のアリア」なんかもちゃんと再生できますし、和太鼓集団のCDをかけてみても、直径2mくらいある太鼓の音もちゃんと聞こえます.そして、今までは大音量の中に紛れてしまって聞こえなかった小さな音がとてもよく聞こえます.「こんな所にこんな音が入っていたんだ」という発見がとても多いです.
先に入手した「MLi-130TD」もバラして内部構造を観察したのですが、今回の富士通のTAIMEDOMAINと、構造上の差違はないように思います.ただ、使用しているスピーカユニットは、どうも違うような気がします.ということは、「MLi-130TD」との音の違いは、ユニットの特性だけが原因か?ということになりますが、本当のところはどうなんでしょうか.TIMEDOMAINのページでは、「キモはスピーカユニットを支持する機構」という説明が多く、ユニットの特性の向き不向きについては、あまり書かれていないのですが、このTIMEDOMAIN独特の音を出す一番の要因って何なんでしょうね.
こんど、この富士通のスピーカユニットと「MLi-130TD」のユニットを交換してみようと思います.それで「MLi-130TD」の音が良くなれば、音質の差はユニットの差ということになります.
コメント