キンギョにも立派な個体差.

うちの子が幼稚園でもらってきたキンギョが大きく育って、気がついたら卵をたくさん産んでいて、その卵を別の水槽に移しておいたらキンギョの稚魚が大発生してすごいことになっている、という話を書いたのはいつのことかと思って探してみたら、5月の27日でした.ということはもう半年くらいたっていたのですね.あれからキンギョの稚魚はどうなったかというと、こうなりました.


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現在、水槽に残っているのはざっと(ざっとですよ)30匹くらいでしょうか.生まれたばかりの頃にはいったい何匹いるかわからなくて「100匹くらい」なんて書きましたが、あれから死亡してピンセットで水槽からつまみ出された稚魚の数を思えば、最初に生まれていたのはせいぜい50匹くらいだったでしょうか.現在の様子を見れば、恵まれない環境と、不慣れな飼育技術の割には、生存率はかなり高かったです.

さて、彼らを観察していて、ちょっとおもしろいことにいくつか気がつきました.まあ、生き物をまともに飼育した事なんて人生で初めてですから、ちょっとしたことでも不思議だったりおもしろかったりするわけです.まず、彼らのサイズ.生まれて10日目くらいですでにサイズの差はありました、何となくね.でもそれは生まれつきの誤差(ばらつき)であって、育っていくにつれてその誤差はなくなり、みんな均等な大きさになると思っていたのです(人間の子供でもそうですよね)が、さにあらず.生まれた日の違いはせいぜい10日あまり.約半年経過後の現在で、最も大きなものと最も小さなものの体長の差は3倍以上もあります.特大サイズが3匹.大サイズが5匹.以下、中小サイズが多数となります.同じ環境で同じ日数育ったのに大きさにあれだけの差ができるなんておもしろいですね.これが自然界なら、特大サイズ以外のものは淘汰されてしまうのでしょうね.

それから彼らの色.生まれたての最初は、メダカの稚魚と同じです.しばらくすると体に色がついてくるのですが、キンギョの色ではなくて、普通の川魚の色です.で、またしばらくして体長が1.5cmくらいになると、だんだん体の色が薄くなって、またメダカのようになります.そのあとキンギョっぽくなったり、メダカっぽくなったり、1週間周期くらいで色が変わるようになり、それを繰り返すうちに徐々にキンギョ色になっていくようです.キンギョ色で生まれてキンギョ色のまま成長するわけでもないようです.

彼らの体型にもビミョーな違いがあります.親は4匹いるのですが(どれから生まれたのかはわかっていませんし、どれがオスだかメスだかもわかっていません)、4匹ともほぼ同じ体型で、つまり4匹を識別するのはほぼ困難なのですが、子供たちは、上記の特大サイズなど大きさである程度識別できますし、体型や色合いも微妙に違うのですねぇ.よく、猿や猪の飼育員の方が、「群の中でもみんな顔が違うから見分けられますよ」なんて言っていることがありますが、キンギョも稚魚から見続けると、だいたい見分けられるようです.サイズ以外にも特徴的なものもいます.たとえば1匹は、しっぽの先がちょっとだけ黒くなっています.売っているキンギョには白と黒と金色のまだら模様のがいますが、その遺伝子がちょっとだけ混ざっているんでしょうね.その黒い部分ですが、大きくなったり小さくなったりします.一時期は黒い部分が全く無くなっていたこともありました.それから、しっぽの形状なんですが、ほとんどは普通のフナみたいなしっぽですが、2匹だけデメキンみたいに3つに分かれているしっぽのやつがいるんです.これも遺伝子が混ざっているんでしょうね.ということで、親4匹は見分けがつかないくらい似た体型なのですが、いろんな遺伝子の混ざった雑種であることがわかります.

あとこれも遺伝だと思うのですが、強烈な勢いでエサを求める姿は、誰も教えていないのに親と同じです.水槽の前を人が通ると、それに気がついて、水槽のすみっこで水面から体が半分以上出てしまうくらいまでジャンプを繰り返します.30匹全員が一斉にするんですよ.親とはサイズがまったく違うので、一緒の水槽にしたことはありません.親から学習することは不可能です.ということは、本能的に知っているのでしょうね.そういう性質を遺伝によって受け継いでいるのでしょう.私が思っていたキンギョのゆったりとしたイメージからは想像できないくらいエネルギッシュです.もともとが、お祭りのキンギョすくいで売れ残った(生き残った)ものを、幼稚園のプールに放してつかみ取りをするという、そういう経緯で入手したキンギョですので、キンギョすくい用に、とにかく素早く逃げまくるようなキンギョが生産されているのかもしれませんね(そうしないと、キンギョすくい屋さん大赤字になりますから).

まあ、ここまで育てば、そう簡単にお亡くなりになることもないと思いますので、大きさの差はありますが30匹一緒にこれからも生活することになるのでしょう.しかし、隣の水槽にいる親は、とどまるところを知らないように成長を続けており、10cmの大台を突破しています.もうサイズだけは立派なフナです.キンギョっていったいどこまで大きくなるんでしょうね.そして、30匹の彼らもみんな、親と同じくらい大きくなるんでしょうか.うちにはそんなでかい水槽を置く場所ないんだけど.