立山三山縦走、失敗.

立山ではもう雪が積もっているのですけれど、順番通りに、今回は9月に登ったときのことを書きます.夏休みに初登山で立山に登ったときに、別山の山頂でベテランのおじさんから聞いた「立山三山縦走」という言葉、いろいろ調べてみましたが、やっぱり私が行ったところだけでは「立山三山縦走」とは言えないようです.立山三山には室堂の右側にある「浄土山」という山が入っているようで、「浄土山」、「雄山」、「別山」の3つを縦走することのようです.前回は室堂から浄土山を通らずに雄山に登っているので、立山三山縦走になっていません.ということで、あらためて立山三山縦走にチャレンジすることとしました(まあ、タイトルに書いてあるとおり、結果は失敗に終わったんですけれど).


前回の様子を思い出しながら、登山用の地図を見ながら、歩く様子なんかを想像します.普通に考えたら、前回のコースに浄土山を追加します.つまり、室堂から、まず浄土山に登って一ノ越まで下りて、そこから雄山に登って別山まで縦走、剣御前小屋から雷鳥坂を下って雷鳥沢キャンプ場を通って室堂まで戻ると.コースタイムは合計で8時間ほど.立山駅の始発の7時のケーブルカーに乗ると、室堂に着くのは8時半頃.8時間歩くと16時30分で、最終のバスは17時なので、余裕は30分しかありません.地図に書いてあるコースタイムには休憩時間が含まれていませんので、余裕が30分では、コースタイムより少しでも遅れると、帰りのバスに乗れなくなります.まあそのときは、室堂の山小屋に泊めてもらえばいいだけのことかもしれませんけれど、山小屋なんて泊まったことないし、出来ればその日のうちに帰りたいです.


う?ん、と考えながら、地図とにらめっこです.途中でこけて怪我をするとかのトラブルがあれば、絶対に時間は間に合いません.途中に「大走り」というエスケープルートがあるのですが「急坂浮石注意」と書いてあります.通常ならまだしも、トラブルを起こしたときのエスケープには使いたくないですねぇ.あとショートカットできるルートは、浄土山に登らずに一ノ越から室堂まで通るルートだけです.ですので、前回とは逆回りにすることにしました.最初に剣御前小屋から別山に行って、そこから雄山まで縦走して一ノ越まで下りる.その時点で行けそうであれば浄土山を目指して、ダメそうであれば室堂に直接戻ると.室堂に直接戻れば、浄土山を通るのに比べて1時間くらいは短く出来ますので、何かあったときにも時間の余裕を感じながら歩くことが出来ます.


これでいいかと思ったのですが、前回、雷鳥坂を下っただけで、グタグタのヨレヨレになったことを思い出して、出来ればそこは避けたいです.地図で雷鳥坂を避けるための道を見ると、雷鳥坂の北側の稜線を行く道があるのですが、明らかに遠回りですし、時間に余裕がないんだから最短距離を行くべきなんですが、コースタイムを見るとどちらも1時間50分です.あれだけ遠回りをして時間が同じだなんて、雷鳥坂っていうのは本当にきつい坂なんですね.稜線を行ったほうが眺めもいいでしょうし、今回は雷鳥坂を迂回することにします.


ということで、今回は、室堂から雷鳥沢キャンプ場を通って新室堂乗越へ、そこから稜線を行って剣御前小屋.別山から雄山まで縦走して一ノ越に下り、そこで行けそうだったら浄土山を経由して室堂へ、ダメそうだったら直接室堂に帰ります.時間の早いうちに稜線に出ますから、きれいな剣岳を見ることが出来るかもしれません.


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出発前日に用意した水分.青い袋が2リットルで、グレーが1リットル、オレンジが750mlを2本、合計4.5リットルを持ち込みます.それだけでも十分荷物が重たくなるんですが、前回3.5リットル持ち込んで不足気味だったのでしょうがないです.ちなみに前回は自転車用の10リットルのザックでしたが、今回は山用の30リットルのザックを新調しました.


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立山駅前、6時半頃です.始発は7時なのですが、やっぱりもう切符売り場の前には行列が出来ています.始発に行列が出来るのは、夏に限らず、いつものことのようですね.


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出発前の改札口.でも夏に比べればだいぶん人が少ないです.で、やっぱり観光の人より登山の人の方が多いですね.ほとんどが登山です.


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立山室堂到着です.8時10分.天気の良さそうな日を選んでいるだけあって、めちゃくちゃ天気がいいです.すぐに出発です.


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みくりが池から見た、今日歩く予定の山々.左側の尾根から登ったところが剣御前小屋で、そこから右に縦走して、右側で一回ガクッと落ちているところが一ノ越で、そこからもう一回ポコッと登っているのが浄土山です.浄土山まで行けますでしょうか.


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室堂ターミナルから雷鳥沢に抜けるのにもいくつかのルートがあるのですが、今回は血の池地獄を通りました.これが血の池地獄.地獄って感じにはほど遠いです.ちょっと赤色がかった水たまりがあるだけですねぇ.宗教的な意味合いも込めた名前ですね.


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真ん中やや左の谷筋を登るのが雷鳥坂ですね.今回は左側に抜けて尾根筋を行きます.


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夏に来たときには一面にテントが張ってあった雷鳥沢キャンプ場ですが、今回は1つのテントもありませんでした.ただの広い空き地です.ここでトイレを借りましたけれど.


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雷鳥沢の橋の上から雄山方面.峰の右端のガタガタッとなっているところが雄山神社で、そこから右に下ったところが一ノ越.この橋を越えたところから、やっと登り始めます.ここまで約1時間です.


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ちょっと登って、室堂や地獄谷方面.だいたい同じくらいの高さに室堂ターミナルが見えます.こうしてみると、いったん雷鳥沢まで下ってまた登るのがもったいないですねぇ.この下りがなければずいぶん楽なんだけれど、まあしょうがないですわなぁ.


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ええ、なんか知りませんけれど、赤い木の実があります.この実は最初から赤いのか、それとも秋が近くなってきているので赤くなったのか、どっちかわかりませんけど、緑の中で赤がとても鮮やかです.


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雷鳥坂に比べると比較的楽な道なのですが、それでもこんな道です.ちょうど写真の中央あたりが、とりあえずの目標点である剣御前小屋です.まだまだ遠いなぁ.


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なんか、ブルーベリーみたいなのが実っています.絶対に食べられそうなのですが(しかも美味しそう)、ここは国定公園なので、とるのは写真だけにしておきます.しかし、何の実なんだろうか.植物や動物の知識があれば、山登りはもっと楽しくなるでしょうね.


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緑の中に一枚だけ赤い葉っぱ.これも秋の気配なのか、ただ単に枯れかけているだけなのか.でもとてもきれいです.草の名前は、やっぱり知りません.


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尾根筋に出ました.尾根から富山湾方面.滑川市街地の向こうに海と、その向こうの能登半島まできれいに見えました.左下の方に雪渓が見えますが、これが溶けて谷を下ったものが早月川になります.


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尾根から剣岳方面.たぶん剣岳の一部分が写っていると思うのですが、やっぱり、どれが何だかよくわかりません.


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写真の中央が剣御前小屋.写真でもかなり登っている感じがわかりますよね.これでも楽な方だっていうんだから、大変ですわ.雷鳥坂に行かなくてよかったです.


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今度のは間違いなく食べられますって.でも食べませんよ.とるのは写真だけです.


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再び、尾根から富山湾方面.さっきと違うのは、視線とほぼ同じ高さから上が雲になっているということ.雲と同じ高さまで登ってきたというか、雲の方が下がってきたというか、まあ、風が吹いて雲が押し寄せてきているのは間違いありません.もうそろそろ天気が悪くなってきそうです.時間は10時20分.


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この、石がゴロゴロしているところが道です.写真ではよくわかりませんが、両手も使わないといけないくらいの急な登りです.


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左が雄山で、右が浄土山.その間が一ノ越ですが、その向こうに、えらく突き立った山が見えます.槍ヶ岳のようです(たぶん).南方面はまだまだ天気がいいです.


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振り返って大日岳方面.歩いてきた尾根筋です.左端に雷鳥荘や地獄谷が見えます.こちらも視界は良好で、どこまで見えているのかと思うほど遠くの山脈が見えました.


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左は雄山から、右は大日岳方面のパノラマ写真です.こっちは本当にいい眺めでした.


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やっと剣御前小屋が近づいてきました.歩きやすい道が続いています.


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剣御前小屋です.思った通り、トイレの裏に出るのですね.ここから右に落ちると雷鳥坂です.前回はここを右に下っていきました.


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室堂方面.ほんま、よう登りました.こっちはまだまだ眺めがいいです.


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振り返るとこんな感じ.もう目の前まで雲が来ています.時間は10時50分.歩いた時間は2時間40分ほどで、ほぼコースタイム通りです.ここまではいい調子ですが、ちょっと雲行きが怪しいです(文字通り).


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これが剣岳なんですが、ごらんの通り、視線より上は、まるっきり雲の中.自分のいる標高が、雲との境目なんですね.


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登り始めてからずっと気になっていたのですが、ヘリコプターが行ったり来たりピストン輸送をしていました.改修中という内蔵助小屋を直しているみたいです.


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前回登ったときには動物は全く見なかったのですが、今回は、この鳥がやたらとそこら辺を飛び回っています.やっぱり名前はわからないのですが、雷鳥でないことだけはわかりました.


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次の目標の別山.中央の石を積み上げてあるところがほこらのある山頂ですね.まだ天気はもっています.


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修理中の内蔵助小屋の向こうに、よく見たら富士山が見えます.あの形は富士山しかないですよね.帰ってから地図で距離を測ってみたら200Kmほどでした.視界200Km以上ということですね.


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別山山頂に到着です.時間は11時26分.ほぼ時間通り.


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別山山頂から北峰方面.夏に来たときには、手前の窪地に雪渓が溶けて出来た池があったのですが、今回は完全に干上がっています.


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北峰から剣岳方面.やっぱり視線から上は雲で何も見えません.


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北峰から見た富士山.こっちはまだ視界が晴れています.


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別山山頂の手前で、もう一つ池を見つけました.周りに草も生えていて、ちょっとオアシスのようです.


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別山山頂に戻って昼食におにぎり.奇跡的に三角形を保っていました.時間に余裕がないので、とりあえず急いで食べます.


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昼食を終えてすぐに出発.「カール」と呼ばれる氷河が削ったUの字型の谷です.夏には大きな雪渓になっていたのですが、今はほとんど溶けてしまっています.そして視線から上は雲です.


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ついに歩く道も雲の中となってしまいました.ここからは、景色を眺めることが出来ません.あと、風がかなり強いです.よろめいたり歩きにくかったりということはないのですが、歩くのを中断して休憩をすると、あっという間に体が冷えてくるほどの風です.


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真砂岳です.時間は12時51分.コースタイムから遅れだしました.15分遅れです.特にしんどいとか辛いとかはないのですが、でもペースは遅くなってきました.


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富士の折立.時間は13時35分.やはり15分遅れ.景色が見えないので、途中の写真を撮ることもなく、ただただ歩くだけです.


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大汝小屋です.景色は全く見えませんし、休憩している人も誰もいません.


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大汝山の山頂ですが、前回登ったし、ただ岩があるだけだし、景色も何も見えないので、今回はパスします.ちょっと体がしんどくなってきました.


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雄山の分岐点に到着.時間は14時17分.約25分遅れです.だんだん遅れてきています.


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雄山神社の社務所.登山客は誰もいません.


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ちなみに、前回、夏に登ったときはこんなに人がいました.えらい違いです.


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一ノ越まで一気に下りました.時間も遅れていたので、ここの下りで挽回できるようにがんばったのですが、時間は14時58分、遅れは25分.時間と天候、体力、何より精神的に負けてしまっていたので、ここから浄土山を目指すのはあきらめて、室堂に下ることにしました.


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一ノ越から室堂に下る途中で、浄土山方面.雲に隠れて全く何にも見えません.


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室堂ターミナルに到着.もう稜線は全て雲の中で、全く見えません.雨が降っているかもしれません.時間は15時58分.一ノ越からショートカットして、やっと予定通りの時間に到着できました.もう足がガクガクで、精神的にも肉体的にも、これ以上はダメな状態でした.ということで、今の私には立山三山縦走は無理ですね.もう少し足腰を鍛えて自信がついたら、またトライしたいと思います.何かで見たのですが、富山では、男子たるもの元服だか成人だかするまでに立山三山縦走をしないと、ことあるごとにそれを話題にして嘲笑されるという時代もあったようです.ということなので、富山に住むからには、いつかは立山三山縦走を達成したいと思います.


さいごに、今回歩いたルートです.