かるい、かるーい、ガン告知.

私じゃないんですよ.私のオヤジが、なんだか胃の調子が悪いっていうんで、近所のクリニックで胃カメラで見てもらったら、「逆流性食道炎」という最近テレビでもよく言っている診断名をもらったんですけれど、母親にはこっそりと「進行性の胃ガンですので、すぐに大きな病院で見てもらったほうがいいです」と言われたそうです.

で、日赤病院で検査をしてもらった結果を、一人で受け止めるよりは大勢の方がよかろうと言うことで、家族参加で病名の告知をうけてきました.これがまた、予想に反して「かるい」んですよね.


私のイメージでは、初老で白髪のお医者さんが眉間にしわを寄せて、

 医者「あなたの病名は・・・ガンです」

 私「ガーン!」

ってな感じのガン告知を、子供のころから予想していたんですけれど、実際は、軽い軽い.あれは患者に負担をかけないために、わざと軽い感じでガンの告知をしているのかもしれないですけれどね.


まず、担当の先生が若い.30代、いっても35歳になるかならないかという若さで、しかもネイティブの名古屋弁です.たぶん名古屋大学の医学部あたりを卒業してるんでしょうね.たまに全国ニュースで出てくる、いつも中日ドラゴンズの帽子をかぶっている名古屋市長のしゃべり方です.ちょっと古くは、アラレちゃんのニコちゃん大王が、ネイティブの名古屋弁ですね.あんな感じで話される時点で軽いですよね.お医者さんの言い分はこんな感じ.


「胃の壁が固くなって分厚くなっとるんだわ.奥の方行くとまた広くなってるもんだから、真ん中ぐらいね.ここんとこがね.で、けっきょく細胞取ると腫瘍が出とって、ガンなんだわ.だから手術をして取らんと詰まって食べれんくなるだわ.」


「ガーン」なんていってる隙を与えないガン告知でした.

この軽いガン告知のおかげかどうかわかりませんけれど、うちの親父殿は、「まあ、オレも75まで生きたし、まわりに胃を取ったなんていうやつはたくさんいるし、年相応に普通のことだわなぁ」と、比較的明るい感じです.手術は2月ですけれど、胃袋が無くならないうちに美味しいものをたくさん食べておこうと、自分の好みの料理ばかりを作ってもらって食べているそうです.


私が子供のころは、「ガン=死亡」という図式が成り立っていましたけれど、今は切って取れば何年かは生きられるわけですし、オヤジみたいな年老いた患者に対しては、軽いガン告知っていうのもありかなと思いました.