こういうのをバイクのチューニングというのだろうね.

1ヶ月前の入学式の日には雪が降ったというのに、ゴールデンウイークに入ってからの富山は、アホのように良い陽気が続いています(今日は曇りだったけど).で、バイクの用意をして、いつもの日帰りツーリングに行ってきたのですが、自分でも驚きを禁じ得ないほどの、まさに目が覚めるような爽快な走りでした.コーナーの乗れてる感がものすごく向上しています.理由はわかっています.連休前にバイク屋さんに整備に出したのです.バイク屋さんにお願いしたのは、新しいシーズンを始めるに当たっての12ヶ月定期点検と、昨シーズンですり減った前後タイヤ交換、クラッチレリーズシリンダーの変更(φ26→φ30)、ドライブスプロケットの変更(15T→14T).それ以外のことはお願いしていませんし、それ以外のことはバイク屋さんからの請求書にも記載がないのですが、それ以外の部分がヒジョーに大きかったと、そういう話です.


タイヤ交換は言うまでもないですね.すり減ったタイヤでスッテンコロリンと転んでしまうのは怖いですから、新品に交換しました.レリーズシリンダーの大口径化というのは、クラッチの油圧回路の変更で、パスカルの法則に従ってクラッチが軽くなります.計算上は約25%ほど.一般道を200キロも走ると、クラッチを握る左手の腕が痛くなっていたのですが、これの対策です.標準品がφ26なのに対して、交換部品としてφ28とφ30とあります.サイズが大きい方がクラッチはより軽くなるのですが、大きくしすぎると、こんどはクラッチが完全に切れない状態になったりする恐れもあります.そこらへんはバイク屋さんと相談をしてφ30でも行けるだろうという判断をしてもらいました.ドライブスプロケットの変更は、トップギアで時速100キロで高速道路を安定して走るためには、もう少しエンジンの回転数を上げる必要があるだろうなと思ってお願いしました.15Tのままだと、120キロくらい出さないとエンジンの回転数が低すぎてトルクが足りずに安定して走れないんです.でも120キロも出すと、こんどは風に立ち向かう体のほうの負担が大きくてしんどいので、100キロくらいで安定して走れるようにしておきたかったのです.というのがバイク屋さんにお願いした内容です.私の考えていることも話して理解してもらった上で作業に当たってもらいました.


作業中には何度かお店に行ったり、メールをやりとりしたり、相談しながら作業を進めてもらったのですが、「サスペンションの設定があってないみたいなので、ちょっといじっておきますね」っていうことで、その作業もお願いしました.バイク屋さんいわく、リアサスが動いていないとか.動いていないわけがないんですけれど、そこは表現の範疇ということで.実は今回のバイク屋さんには初めてお世話になるのですが(今回のお店は、富山に引っ越しをする前に、関西のバイク屋さんと取引のあるオイル屋さん経由で富山のバイク屋さんを紹介してもらったのです)、話を聞いてみたら、バイク屋さん本人が、若いころにはDUCATIのバイクでレースに出ていたそうで、今でもメカニックとしてレースに参加しているような方でした.なんというラッキーな巡り合わせでしょうか.


整備が終わって納車の際に、家の前にバイクを止めてリアタイヤにスタンドをかまして、「いっぺんまたがってみてください」というので、おそるおそるまたがってみると、いきなりリアシートをおもいっきりグングンと押さえつけて、それから工具でリアサスのスプリングを調整しては、またグングン押さえつけて、「まあ、これでだいぶん良くなったと思うので、乗ってみてください.何か違和感があったら、すぐ調整できますからお店まで来てくださいね」っていうような調整もしてもらいました.それから、アクセルの遊びが少なすぎたので、ちょっと大きくしておきましたとか、DUCATIにしてはチェーンの張りがゆるかったので、張り気味にしておきましたとか、なんか、請求書に書いてないところをたくさんいじってくれているんです.フロントのサスペンションも、プリロードとかダンパーの設定も変更してくれているようで、どこをどういう設定にしてあるのかチューニング設定書ももらいました(いかんせん見ても意味がよくわからないんですけれど...).


さらにさらに、庭先にしゃがみ込んで、コーナーの曲がり方についてのアドバイスも頂きました.最初はとにかく思い切ってガツンとブレーキをかけて十分減速すること、それからブレーキをゆるめつつバンクを開始すること(ブレーキを離してからバンクをするのではダメです).バンクをしてブレーキを離したらアクセルを明けるタイミングを計って、最初はたるんでいるドライブチェーンをパンッと張る程度の軽いアクセル操作、そして駆動力が後輪に伝わったら思い切ってガバッとアクセルを開けて加速しながら後輪を中心にギュギュッと曲がり込んでコーナー脱出ということのようです.とにかく、DUCATIはアクセルをガバッと開けないと曲がってくれないそうで、それを実現するための事前のお膳立てがきれいに出来ていれば、気持ちよく曲がれるはずですというアドバイスを頂きました.


そしてツーリング当日、最初にクラッチミートで、もう整備の効果がてきめんにあらわれています.今までは半クラッチが出来なくて苦労したのですけれど、何ともコントローラブルに変貌しているのです.これなら交差点でスタートするたびに、エンストの心配をする必要もなくなります.高速道路での100キロ走行は、まさに狙いばっちり.エンジン回転数はだいたい3000回転くらいで、十分なトルクもあり、以前なら90キロから110キロくらいまでフラフラしながら走っていたのですけれど、ほぼピッタリ100キロで安定して走ることが出来ます.もちろん以前より回転数が上がっていますので、追い越しをするときなどにその気になってアクセルをガバッとひねれば、ドッパーンと加速をして、あっという間に150キロくらいにはなります.


さて、砺波インターで高速をおりて、御母衣ダムを目指すのですが、コーナーのたびに、ギュッと減速(この際にも、設定変更してもらったフロントサスペンションのおかげでノーズダイブが軽減されていて、以前より思い切ってブレーキングできます)、それからブレーキをゆるめながらバンク開始、そして「こっからや!」という予感のするポイントでドライブチェーンをパンッと張るようにアクセルを当てた後で、思い切ってアクセルを開ける.この、思い切ってアクセルを開けるということが昨年までは全く出来なかったのが、今年は気持ちいいほどにガバッと行けるんです.リアサスの設定変更のおかげでしょうかね.


そうそう、それにくわえて今まで出来なかったことが、いきなり自信を持って出来るようになったことがあります.それは、矢印信号が出ている状態での右折.急ぎますのでギリギリまで加速していって、限界点でガツッとブレーキ、ピンポイントでガバッとバンクして、その後、思い切って加速、しかもけっこう小回りと、これをなめらかにするには慣れがいると思います.じっさい、昨シーズンまでは出来ていませんでした.それが今回は面白いように決まるんですよね.


この、コーナーの乗れている感、表現は非常に難しいのですけれど、あえて誤解を恐れずにいうならば、子供のころブランコの座りこぎしかできなかった子が、ある日突然何かをつかんで立ちこぎが出来るようになった、そんな感じです.言葉では説明できないんですけれど、ものすごく体中にたまったエネルギーがコーナー立ち上がりと同時に一気に解放されるというような、そんな感じでした.


ということで、バイクは1台1台個性がありますし、それに乗る人も、体重も違えば、乗るときのクセも違いますし、腕も違います.そこら辺を上手にくみ取って、その時に出せる最適な組み合わせのセッティングを出して、お客さんに届けるというのが、バイクチューニングの本来あるべき姿だと痛感しました.そして、その作業を当たり前の日常業務と考えて、追加料金も請求しなければ、納車時にわざわざ最終チェックまでしてくれるバイク屋さんというのは、本当に信頼できる、本来あるべきバイク屋さんの姿だろうなあと、ちょっと感銘を受けたりもしました.でもあれじゃあ儲けは少ないだろうなぁ.まあ、そういうバイク屋さんに出会えたことは、私にとっては非常にラッキーな出会いだと思います.これからもご迷惑をおかけすることが多々あると思いますが、いろいろなお話を聞かせてもらって、私のバイクライフをもっともっと充実できればいいなと思っています.


P1030278.JPG

ちなみに、私のDUCATI M1100ですけれど、今回からツーリング用のリアバッグを装着してみました(去年のうちにオークションで入手しました).今回は中身なんにも入ってないんですけれど、バイクに乗ったり降りたりとか、運転中に何か問題がないか確かめるためです.将来の1泊ツーリングに向けての準備です.


ツーリングのお昼ご飯には高山の「茶茶」という「とろろ飯」のお店で、その「とろろ飯」を頂きました.

P1030279.JPG

ご飯(麦飯です)おかわり自由ということだったのですが、そんなに食えるわけ無いだろうと思いつつ、4杯もおかわりしてしまいました.また絶対に行きます.