「MK8 エクストルーダー」とかいうモノを移植.

樹脂を熱で溶かして積層するタイプの3Dプリンターにはいくつかの種類がありますけど、エクストルーダー(フィラメント押出機)がボーデンタイプかダイレクトタイプかという分類があります.私の買ったAnycubic i3 Megaはボーデンタイプです.ダイレクトタイプというのは、ホットエンドに押出機が付いていて、フィラメントを引き込むとすぐに溶かしてノズルから押し出します.ボーデンタイプというのは、ホットエンドから離れたところに押出機があって、押し出されたフィラメントは何十センチかのPTFEチューブの中を通ってからホットエンドに到着して、そこで溶かされてノズルから押し出されます.どちらも利点欠点があって、どっちが優秀っていうわけでもないようですけど、使っているのがボーデンタイプだと、ダイレクトタイプも試してみたくなりますよね.で、Aliexpressで安物を探して「MK8 エクストルーダー」っていうモノを購入しました.


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送料込みのくせに梱包とかけっこうちゃんとしているんですよね.


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これだけのモノが¥2000もせずに届くんですから、大したものです.あ、セールの割引価格ですけど.


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構造を知るために分解.オープンソースなので、この構造でちゃんと使えることは確認できているんでしょうけど、けっこう簡単な構造であることがわかりました.もっとガチガチな作りだと思ってました.


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別で買ってあった取り付け用のステーを一緒に組み込みます.


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さて、どうしたもんかと実機に押し当ててみたりして考え中です.


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いろいろ考えて、こんなもん作りました.


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いざ組み立てて稼働、と言いたいところですけど、なんかおかしい.せっかく手で入れたフィラメントが上に吐き出されてきます.エクストルーダーモーターが逆回転してるんですね.


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落ち着いてよく観察してみました.ピンボケで申し訳ないですが、奥側が標準のエクストルーダーで、手前が今回買ったもの、どちらも手前から奥に向かってフィラメントを送ります.でも、標準品のほうはモーター軸の左側をフィラメントが通っているのに、今回買ったほうはモーター軸の右側を通っています.同じ方向にモーターが回れば、フィラメントを送っているつもりでも戻ってきてしまうわけですね.

いやー、なんでもポン付けで動くかと思いきや、こういうこともあるんですねえ.きっと、ソフトの設定とか、基板のジャンパーとかでモーターの回転方向を切り替えられるんでしょうけど、モノがステッピングモーターなので、とりあえずの対策をします.
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右のように、コネクタの出っ張りを切り落として、コネクタを表裏逆に入れればステッピングモーターが逆回転するはずです.あまりオススメできる方法ではないですけど.


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はい、動くようになりました.ただまあ、けっこうペコペコというか強度不足というか、ネジ止めされているのが、右側の2本とその左側面の1本だけなので、モーターがフィラメントを送る時に今回作った部品が歪んで、1mmくらい浮いたりします.使用上は問題ないみたいですけど、長く使う間に問題が出てきそうですし、横着せずに四隅でネジ止めできるように作り替えたほうがよさそうです.


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とりあえず、ダイレクトで初めて印刷したのがこれです.特に支障もなくプリントできました.


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そして、印刷終了後に垂れてきた樹脂は、たったこれだけ.このあたりがボーデンとダイレクトの差なんでしょうか.


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ネジ止めを4カ所に増やしたモノを作りました.でも、ちゃんと動きませんでした.


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原点出しで、いきなり「ドカッ!」ってどこかに当たってるみたいで、よく見たら一番奥のところで部品とネジが干渉していました.


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原点復帰まであと0.5mmくらいだったので、リミットスイッチが当たるところに厚さが1mmの両面テープを貼って、とりあえず動かせるようにして、また部品の改良です.


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今回の部品は一番手前側の部分をちょっとえぐってあります.


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ちゃんとネジから逃げて、原点復帰も正常に出来るようになりました.


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特に何の支障もなく動いています.


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しかしこれ、ダイレクトっていうんでしょうか.なんか限りなく距離が近いボーデンタイプのような気がする.

ボーデンタイプはダイレクトタイプに比べてホットエンドにモーターを搭載しなくていいぶん軽く出来るので、ヘッドの移動速度を速くできるのが利点と言われています.私はホットエンドにモーターを載せたら、横方向の高速移動時には脱調するんだろうと思っていたんですけど、まったくその気配はなく、設定も何もいじらないままで普通に使えてしまいました.なんというか拍子抜けです.

ちょろっと使ってみた感じでは、ノーコントロールで垂れてくる樹脂の量がとても減りました.印刷終了後だけではなく、印刷中のヘッド移動時に垂れる樹脂も減っていると思います.欠点として、なんかいろいろ共振して動作時の音がうるさくなりました.それも、良い音ではなくて悪い音.そのうち振動でどこか壊れそうです.やっぱり素人がやると、そういう細かなところまではどうしても対応できませんね.

このまましばらく使ってみて問題がないようであれば、柔らかいものが作れるという「TPUフィラメント」を試してみたいと思います.