いろんなフィラメントを試してみた.

先日、3D プリンターをダイレクトエクストルーダーっぽく改造したので、TPUなどの柔らかいフィラメントを試してみることにしました.ただ、PETGなんかに比べるとちょっと高価な上に、何に使えるかもよくわからないので、いつもの1kgスプールではなく、500gだけ買いました.あと、フィラメントを専門に扱っているお店で、面白そうなフィラメントのサンプルを売っているのを見つけたので、「カーボン系フィラメントCarbonFil」というのと、「ナノダイヤモンド配合フィラメントuDiamond PLA」を、それぞれ10mずつ買いました.

それぞれのフィラメントで、10x5x50の柱状のモノを横に寝かせた状態と、縦に立たせた状態で印刷をしました.
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あとで気がついたんですけど、けっこういい加減な順番で並べてしまっています.左から、PLAの印刷温度190℃の縦と横、ナノダイヤモンド230℃の横と縦、TPUの200℃の縦と横、カーボンの260℃の横と縦です.ノズルは0.4mmです.ビルドプレートの温度はカーボンだけが85℃で、あとは60℃です.


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まずTPUを曲げてみました.よく言われていますけど、弾性という感じではないです.手を離しても「ビョン!」と戻るのではなくて、「ユルー」っと戻っていきます.色合いが悪いせいか、私のイメージとしては「便所のサンダル」的な柔らかさです.


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他のフィラメントを折ってみました.測定器とかないので、手で折ってみた感じで特性を判断しようと思ったんですけど、横方向の印刷は、どれも私の力では折れませんでした.力を入れたときの感じでは、PLAが一番しなりが大きくて、一番しならないのはナノダイヤモンドです.縦方向に積層したものは、積層面で比較的簡単に折れました.PLAが「パキッ」っという感じだったのに対して、ナノダイヤモンドは「メキッ」っていう感じです.わかりにくいですけど、PLAのほうは潔くいくのに対して、ナノダイヤモンドは限界点を超えて折れるしかないところまでいっても少し頑張ります.カーボンは、温度設定とかよくなかったのかもしれませんけれど、あっけなく「ぽろっ」って感じで折れました.

初心者がちょろっとサンプルを使っただけなので正確なところはわかりませんけど、私が使ってみた感じだと、「カーボン系フィラメントCarbonFil」はもういいです.10mを使い切るまで印刷条件の正解がわかりませんでした.とにかくよく糸を引きます.見た感じだと、ノズルから出るときの抵抗が大きいんだと思うんですけど、引き戻しをかけてもズルズルと樹脂が垂れます.印刷を完了したあとも延々と樹脂が垂れます.あと、カーボンがノズルを削るとかで、普通の真ちゅうノズルだと、あまり持たないようです.

これに対して、「ナノダイヤモンド配合フィラメントuDiamond PLA」のほうは、とても使いやすいです.PLAとほぼ同じ条件で綺麗に印刷できました.溶けた樹脂がとてもサラッとしているのに、糸引きがほぼ完全にありません.樹脂を止めたいときに止められる理想的な操作性だと思います.


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ナノダイヤモンドで以前に自作した自転車用グリップエンドの改正版を印刷してみました.0.2mmノズルです.


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拡大してみても、とても綺麗な仕上がりです.普段は印刷後に糸とかヒゲとかちょっとクリーニングしてから写真を撮っているんですけど、これは正真正銘の印刷直後です.よく見ると上の方の「i」とか「w」とかに糸が1本ずつ引いています.積層面ごとの段差も、他の樹脂と違ってとても滑らかです.


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各パーツをこんなふうに組み立てます.


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ちょっと離れて見ると、3Dプリンターで作ったとわからないような出来映えです.PETGで作ったときには、パキッっとヒビが入りましたけど、今回はしっかり固定できるまでネジを締め込んでもびくともしませんでした.


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失敗作.色が白いので、ノズルの周りに焦げた樹脂が付いていると、こういうふうに焦げラインが入ることがあります.

「ナノダイヤモンド配合フィラメントuDiamond PLA」っていうのは、本当によくできたフィラメントだと思います.私にとっての難点は値段が高いことだけです(あと、白以外の色も欲しいかな).今回私がお世話になったお店では、500gのスプールは¥8,640でした.いつも使っているフィラメントが1kgで¥3,000でほどすから、5倍以上か.でも「印刷してみて、ダメで、条件変えて」を繰り返すことを考えれば、ほぼ1発で印刷できるのならバカ高いわけでもないなあ.無駄になるフィラメントも少なくなるし、何より時間が節約できるし.プラットフォームシートへの食いつきも上々で、0.2mmノズルでも何の問題もなく使えたし.今のところソリとかもまったく感じられない.もうちょっと安くなれば常用しても良いんだけどなあ.自転車とかのちょっとした部品や改造用のパーツを3Dプリンターで自作するのにとても適したフィラメントだと思います.この記事で、すこしでも良さが伝わってたくさん売れるようになれば、経済原則で値段が下がらないかと、ちょっとだけ期待しています.