TPUフィラメントを使ってiPhone SEのケースを作っているんですが、TPUフィラメントは柔らかいので、堅いフィラメントとはサポートの扱いがちょっと違います.掴みにくいなら掴みやすい形にねじ曲げて掴むとか、そういうことをしても必ず元の形に戻ってくれるという安心感があります.ただ、サポートが結構しっかりとくっつくので、はがすのにはそれなりの力がいります.面でくっつかれると、その面積に比例して大きな力がいるわけで、場合によっちゃあ力が足りずにはがせないとか、そういう状況にもなります.
そんなことを繰り返しているうちに、たくさんのボツが出来てしまいました.
写真では見えにくいですけど、赤丸の部分で表面がはがれています.
こちらも何本か切れてめくれています.
サポートが面でくっつくのがいけないのだから、面でくっつかないように45°傾けて印刷すればいいのではないかと思ってやってみました.
面でくっつかないところはよかったのですが、今まで綺麗に出来ていた部分が、どうしようもなく汚くなってしまいました.サポートがしっかりくっつかないということは、本体が十分に固定できないということで、ビルドプレートから離れるにしたがって印刷が安定しなくなります.TPUは柔らかいので、縦に伸びてくるとどうしてもフラフラしてしまいます.
これが7号機.けっきょく初期型と同じように、背面を上にして印刷しました.ただ、サポートと本体の接する部分に工夫があります.
サポートと接する面に小さなスライムマークがたくさんあります.これは、0.5mmほどのスライム型のくぼみをたくさん付けたものです.1つの平面でベタッと接するからはがすのに力がいるわけで、面を細切れにすればいいんじゃないかという考えです.細切れなら丸でも三角でも何でもよかったんですけど、どうせなのでスライム型で細切れにしてみました.
これは、まあまあ目論見通りといって良いんではないかと思います.はがしやすさという面では、ちょっと力が少なくてもよくなったかなという程度なんですけど、本体がサポートにつられてはがされるというのは、とても少なくなりました.はがれていないかといえばはがれているんですけど、斜めの直線で印刷されていた樹脂がスライム型の外壁で区切られているので、はがれてもその範囲内で止まります.スライム型の外壁は、はがれても一周して止まります.なので、はがれてはいるんだけど、被害が小さな範囲で収まるので、見栄えもそんなに悪くなりません.
ただまあ、端っこのほうでうっかり斜めが連続しているエリアがありまして、隙あらばはがれるって感じでしょうか.もうこれで最後と思っていたんですけど、もう一回だけ改良をやり直すことにしました.
最終型のサポートをはがしました.
右が7号機で、左が最終型です.最終型ではスライム型が小さくなっているのと、スライム型の範囲が横幅いっぱいまで広げてあります.写真では見えないですけれど、くぼみも少しだけ深くなっています.今回も改良の効果ありで、また少しはがしやすくなりましたし、本体がつられてはがれるのも少なくなりました.
最終型の背面です.
最終型の正面です.
もうこれでいいだろう勘弁してくださいって感じですので、これにて完了とします.いい勉強にはなりましたけど、いろんな意味でとても疲れました.サポートっていうのは本体を支えるわけなので、基本的には本体に接する必要があるけど、後で取るんだから本体に密着してもらっては困るっていう、なんとも微妙なコントロールが必要な難しいモノなんだということがよくわかりました.PLAやPETGではサポートが接する面と接していない面とで仕上がりに差が出るのがいやで、サポートは使わないようにしていました.オーバーハング何度までならサポート無しで印刷できるのか実験したり、どういう形にすればサポート無しでいけるか考えたり.短い距離ならいっそ横に水平に引っ張ったほうがサポート無しで印刷できるとか.TPUで柔らかいスライムを作るようになってから、TPUならサポートが付いていても面の荒れ方が少ないことを知って、やっとサポートを使うようになったのですが、やっぱりいろいろと難しいですね.
しばらくは今回作ったケースをiPhone SEに装着して使ってみます.耐久性に難ありとか、そういうことがわかれば、また改良を考えようと思います.でもまあ、しばらくiPhoneケースはいいかな.
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