ダイレクトエクストルーダシリーズもやっと終わりになります(半強制的に終わらせている感が無いでも無いですけど).そもそもなんでダイレクトエクストルーダを作ろうと思ったかというと、TPUフィラメントが印刷したかったから.TPUフィラメントはフニャフニャでボーデンタイプではまともに印刷できるとは思えなかったので、Anycubic i3 Megaのオリジナルのホットエンドの上にモーターを移動しただけというダイレクトエクストルーダもどきを作ったのが最初でした.でもそれじゃあホットエンドが重すぎて、X軸が細かく動くたびに、3D プリンターだけではなく机や床までも振動するほどで、そのうちどこか思わぬところが壊れるだろうっていうくらい.でまあ、お手軽に改造した「もどき」ではなくて、ちゃんと設計して無駄を省いた「ダイレクトエクストルーダ」を作ることにしたわけです.
前回完了時点ではこんな状態だったのですが、写真ではわかりませんけど、モーターが触れないくらい高温になっています.
今まで使ってきたモーター.一番左がオリジナルのモーターです.これじゃ重すぎるからということで、一番右にある薄いモーターを買いました.使えそうなものの中では一番薄型です.ただまあ、小さくなってもそこそこのトルクを出すためには電流をたくさん流す必要があるわけで、たくさん流せば発熱もするわけです.どれくらい発熱するかは使ってみないとわからないので、使ってみたところ、結構な発熱でした.ビルドプレートと触り比べてみたら、70°位はありそうな感じでした.さすがに70°はマズいだろうと思って、ちょっと大きめの真ん中のモーターを買いました.一番右のものより電流値が下がるので、発熱も抑えられると思ったのですが、逆にもっと高温になってしまって、もう指で触れないくらい.90°か100°あるかっていうくらいです.でまた今回、さらに大きめのモーターを買いました.
これが新しく買ったモーター.厚さは34mmです.オリジナルが40mmなので、6mmしか違わない.冷静に考えて、モーター変える必要があったんだろうか.まあそれを言っちゃおしまいだから、言わないことにしますけど.
なんか今までのモーターと比べて違和感があったのでシャフトの長さを測ってみたら23mmもある.図面上では20mm指定のはずなのに.そして私の設計上では21mm以上のモーターは使えない.どうすんだよこれ.
金鋸で切りました.シャフトはステンレスっぽかったし、切り粉がモーターに入らないようにガムテープでグルグル巻きにして、シャフトが回らないようにモンキーレンチでくわえてやったら、意外と普通に切れました.
モーターにあわせて部品を作りました.これが最終形態です.
ちなみに、最初のころの部品はこんな形でした.なんというか、気持ちは伝わってくるけど、いろいろ足りてないぞっていう形です.
途中飛びますが、組み立てて、動作チェックをして、ノズル位置の確認です.これは原点復帰直後の(x,y)=(-5,0)の位置です.なんとかノズルがガラス面から左に出ています.樹脂が垂れてもガラス面に積もったりすることはありません.
これが(x,y)=(0,0)の位置.ちゃんとガラス面にのっています.
そしてこれが右側の限界値である、(x,y)=(215,0)の位置です.ギリギリでガラス面の範囲内です.
これは一番右奥の、(x,y)=(215,215)の位置です.まあこれで、ノズル位置に関してはなんとか合格でしょう.
そしてテスト印刷.
テスト印刷中に今まで使っていた部品をチェックすると、やっぱり溶けてました.右側の壁が曲がっていますし、モーターが当たっていた面にモーターのカタが付いています.横向きの積層痕が消えてしまって、モーターの円形の切削痕が写って見えます.まあ、あれだけ熱くなるとやっぱり継続使用は無理ですね.
試しに、むかし設計したものを印刷してみました.フィラメントはPETGです.まずまずの出来だと思います.
設計当時に印刷したときにはこんな出来だったので、ずいぶん綺麗になったものです.ただこれはエクストルーダ改造のせいではなくて、PETG印刷の設定値が良い方向に煮詰まったからだと思います.
最後の最後になってですが、X軸の原点復帰リミットが当たる位置を調節できるようにネジ式にしました.写真の真ん中に写っているネジがソレです.
原点復帰完了時の位置.いつものことですけど、いろいろとギリギリです.
右側の限界位置.まだ7mmくらいの隙間があるんですよ.7mmあるんなら、いま使っている厚さが10mmのファンを手持ちの15mmのものに変えれば、もっと効率良く冷却が出来そうですけど、とりあえず今回はもうおしまいにします.ファンを変えるんなら、また仕切り直しで.
はい、これでダイレクトエクストルーダを作るのは完了です.長かった.2ヶ月くらいかかってますかね.はじめた頃には、出来るかどうかもわからないし、そもそも何が出来る必要があって、どういう形になれば完了なのかとか、そういうこともわからなかったんですけど、ま、やってるうちにスキルも上がるだろうし、やってみないとわからないこともあるので、とりあえずやってみようって感じで始めました.何とか形にすることが出来て本当に良かったです.さあ次は何をするか考えないと.
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